薬膳とは
薬膳と聞くとなんとなく体に良さそうなイメージを持たれると思いますが(私もそうでした)、薬膳料理ってどういうものかご存じですか?
一言でいうと、薬膳料理とは “中医学理論に基づいて食材を選んで作る料理” です。
自然界から得られるすべての食材には、薬材と同じように効能があり、バランスのよい食事をとることで体を整え、病気の予防をしていきましょうという考え方がベースにあります。(ここでいう薬材とは、漢方薬に使われている生薬のことです)
漢方薬は薬材(生薬)を組み合わせることによって効能を高めているお薬です。
薬膳料理は食材の効能を考えながら組み立てて作る、オーダーメイドの料理になります。
“特別な食材を入れて作るちょっと変わった料理” と思われがちですが、身近にある食材で作ることが出来ます。
食材を組み合わせて一品料理として作ることはもちろん、複数のおかずにしてトータルで考えていったりもします。
自分で作り家庭で食べることが理想かもしれませんが、たまには外食やお惣菜を買ってくることもあると思います。
そんな時でも食材を選ぶことが出来れば、薬膳を取り入れたメニューを選ぶことが出来ます。
ここ数年で“薬膳”という言葉を見たり聞いたりする機会がとても増えてきました。
人の寿命年齢が高くなっている今、「生きている間はなるべく長く健康でいたい」という思いがあり、健康寿命への関心も高くなってきているのだと思います。
さまざまなセルフケアに関心を持つ方が増えてきた中で、毎日の習慣である“食”への関心も増し、食を見直す手段として薬膳が選ばれているのかもしれません。
薬膳は中医学理論がベースになっているので、中医学理論の基本だけでも学んでいただき、セルフケアの一つとして暮らしに取り入れてもらえたらと思います。
薬膳の考え方はとってもシンプル
中医学理論の中に、「人は自然界の中の一部であり、自然と調和し寄りそいながら暮らしていくことが大切」という思想があります。
人は常に自然環境の影響を受けているので、うまく適応できないと何らかの不調が生じます。
たとえば日本には四季があり、気温や湿度などの外的環境が変わりやすい特徴があるため、それが要因で体調を崩しやすくなります。
そうならないためにも日々の食事、適度な運動、質のよい睡眠、ストレス発散など、できるだけ体調管理に気を配り、体を整えていくことが大切になります。
薬膳の食材選びの基本は、季節や気候、その人の体質・体調に合わせて、食材を選ぶということです。
すべての食材には「補う」「巡らせる」「取り除く」「温める」「冷ます」など、さまざまな効能があるので、たとえば熱タイプの人は体内の熱を冷ましてくれる食材、冷えタイプの人は体の中から温める食材、疲れてパワーがたりない人にはエネルギーを補う食材、というふうに、その人にあった食材を積極的に選ぶようにしていきます。
このように、 “目的を持った食事” を心がける『体にやさしいごはん』、それが薬膳なのです。
体だけでなく心も整えよう
中医学理論の中に“心と体はつながっている”という思想があります。
たとえば、こんな経験はありませんか?
・過度のストレスや緊張などがあり、胃腸の調子が悪くなってきた。
・原因のわからない不調が続いて、その不調が気になって気鬱になってきた。
・想い悩みで眠れない。頭が痛くなってきた。
過度な感情は臓腑に不調を与える要因にもなるので、体だけでなく心(精神)も同じように養生が必要です。
心も体も調子がいいと物事がスムーズにいったり、たとえつまづいたとしても、「よし!また頑張ろう!」と次への活力のようなものがわいてきたりします。
心のケアが体だけでなく、少し先の未来にもつながってくるかもしれません。
不安感をやわらげる、イライラを鎮める、などの効能をもつ食材もあるので、活用しながら気分よく毎日を過ごしましょう。